長靴をはいた猫(第1作)

 

長靴猫シリーズ

『 長靴猫シリーズ 』(ながぐつねこシリーズ)は、ペローの童話『 長靴をはいた猫 』を原作とする、 東映動画 製作による劇場版長編 アニメーション 映画 シリーズ の 通称 。『 長靴をはいた猫 』( 1969年 )、『 ながぐつ三銃士 』( 1972年 )、『 長靴をはいた猫 80日間世界一周 』( 1976年 )の3作が存在する。ペローの原作にある程度沿っているのは第一作のみで、続編の二作は主人公のネコ「ペロ」が活躍するオリジナル作品である 。3作とも、 宇野誠一郎 が音楽を担当し、主要キャストらが主題歌・挿入歌を歌った。なお本シリーズの主人公ペロは、東映アニメーションのマスコットキャラクターに採用されている。


ねこも♪ながぐつも♪

『長靴をはいた猫』(第1作)

東映動画版第1作『長靴をはいた猫 』は、 1969年 (昭和44年)『東映まんがまつり 』のうちの一作として公開された。通称 長猫 。演出(監督)は 矢吹公郎 他。『 怪物くん 砂魔人をやっつけろの巻 怪物くんとハニワ怪神の巻 』『 ひみつのアッコちゃん サーカス団がやってきた 』『 チャコとケンちゃん 』『 ひとりぼっち 』の4作と同時上映。

1978年の『東映まんがまつり』でリバイバル公開され、このときには『 宇宙海賊キャプテンハーロック アルカディア号の謎 』『 スパイダーマン 』『 宇宙からのメッセージ・銀河大戦 』『 キャンディ・キャンディの夏休み 』と同時上映された。

東映動画創業40周年(1996年)記念のファン投票で1位を獲得 。その後 ニュープリント 版を製作の上、 1998年 3月に完全新作の『 銀河鉄道999 エターナル・ファンタジー 』と同時上映という形でふたたびリバイバル公開された( 東映アニメフェア 扱いではない)。しかし、本作の方が時間配分が多かったため、『エターナル・ファンタジー』目当ての観客からは不評で 、 配給収入 も低調であった 。

ニュープリント版の DVDビデオ は 2002年 7月21日 発売。また、 2012年 8月10日 発売のDVD『復刻! 東映まんがまつり 1969年春』にも収録されている( 東映まんがまつり#映像ソフト も参照)。

なお、『 ゲゲゲの鬼太郎 アニメ第二作 』第18話「幸福という名の怪物」の劇中で、本作の音楽が使われている。


ペロも♪プスも♪

あらすじ

以下は、 シャルル・ペロー 版との差分を中心に記述する。

ペロ(猫)は三男がもらった遺産ではなく、猫の国の掟を破ってねずみを助けたために、猫の国から追われて無宿渡世の旅を続けているという設定で、たまたま通りがかって、ピエール(三男)と知り合う。また、最初から剣士の格好で登場している。

オーガから魔王ルシファに悪役の設定が変わっている。ルシファがお姫様を結婚相手と狙う、という災難が降りかかる。

ウサギの献上の代わりに、ピエールの腹黒い兄二人が献上したものを、ペロの機転で、ピエール(カラバ侯爵)の献上品として王様に献上。まず名前を売る。

王様とお姫様が馬車で通るとき、いきなりピエールに裸になって川に飛び込めとペロは言う。近隣の農民には、ペロに協力的なねずみをけしかけ、カラバ侯爵のものだ、と言わないと、作物を食い荒らしてしまうぞ、と脅し、カラバ侯爵のものと見せかける。災難にあったと現状を説明し、王様とともに城に戻り、まともな格好に着替えさせる。

夜、お姫様とのデートシーンにおいて、ピエールはうそに耐えきれず、本当のことをしゃべってしまう。自分はカラバ侯爵ではないと。そして、その時魔王がお姫様をさらいに来る。ピエールは歯が立たない。あっと言う間にさらわれてしまう。

すぐさま、魔王の城まで追いかけ、進入。ペロの機転で魔王をねずみにし、やっつけようとするが失敗。危機一髪の状態をお姫様に見せ、ピエール一行の命と引き換えに結婚を承諾させる。その結果ピエール一行は城から放り出される。

しかし、ピエールはあきらめない。別の方向から城に進入。魔王の弱点が首からかけている髑髏であり、それが朝日にあたると大変まずい状態になることを知る。魔王との戦闘の過程で髑髏がお姫様の手に渡り、それを持って塔のてっぺんに登り、ピエールと共に朝日にあてようとする。魔王はそれを阻止するために塔を破壊するが、塔が倒れる瞬間、朝日が髑髏にあたり、魔王はコウモリとなって消滅。そして子分のカラス達が白いハトになり、落ちてくるピエールとお姫様をささえ、無事地面に。

ピエールと、お姫様の結婚式を見届けた後、ペロはまた旅に出る。

キャスト

  • ペロ : 石川進
  • ピエール : 藤田淑子
  • ローザ姫: 榊原ルミ
  • 殺し屋猫のボス: 愛川欽也
  • 殺し屋猫A: 田の中勇
  • チビ猫殺し屋: 水森亜土
  • ねずみたちの父親: 熊倉一雄
  • ねずみのチビ : 水垣洋子
  • ダニエル(ピエールの長兄)、猫の首領 : 内海賢二
  • レーモン(ピエールの次兄): 八代駿
  • 役不明: 野沢雅子 、 白石冬美 、 野村道子 、杉浦宏策、 大竹宏 、 北川米彦 、 野田圭一
  • 王様: 益田喜頓
  • 魔王ルシファ : 小池朝雄
  • 主題歌・挿入歌

全曲とも、作詞は 井上ひさし と 山元護久 の共同名義で、作・編曲は 宇野誠一郎 による。

主題歌

「長靴をはいた猫」 歌:石川進、水垣洋子、 ボーカル・ショップ 、トリオ・ポアン
挿入歌

「カラバさま万歳」 歌:ボーカル・ショップ、トリオ・ポアン
「幸せはどこに」 歌:榊原ルミ
「ネズミたちの行進」 歌:水垣洋子、ボーカル・ショップ
「はなれられない友だちさ」 歌:石川進、藤田淑子

漫画版

東映動画版のスタッフの 宮崎駿 が宣伝展開として 1969年 (昭和44年)1月-3月まで、漫画形式の『長靴をはいた猫』(全12回)を 中日新聞 / 東京新聞 ・日曜版に連載した。この作品は後年(1984年)、 徳間書店 アニメージュ文庫 『長靴をはいた猫』として出版された。