月光条例/イデヤ・ペロー

 

月光条例

『月光条例 』(ゲッコージョーレイ、 Moonlight Act )は、 藤田和日郎 による 日本 の 漫画 作品。話数の単位は「第○条」。

『 うしおととら 』『 からくりサーカス 』に続く藤田和日郎の連載作品。『 週刊少年サンデー 』( 小学館 )にて 2008年 17号より連載中。基本的に一話完結から数話完結形式の構成になっている。

御伽噺 を題材としており、和洋問わず様々な御伽噺が登場し、物語に彩りを添える。登場する御伽噺は誰もが知っているメジャーなものから、マイナーなもの、作者自身のオリジナルなど様々。また、藤田のお伽噺に対する感想や歯痒さが動機で描かれているとの事であり、「おとぎばなし」の世界の存在は、物語のような英雄的、あるいは清廉潔癖で高潔な人物ではなく、時に不遇な身を嘆き、描かれる幸福に疑問を抱く一人の人間として描写され、その御伽噺(および ディズニー や 世界名作劇場 )に対する アンチテーゼ 的な側面 も持ち合わせている。

作者のこれ以前の作品と比べ、残虐な描写はあるが直接的に描くことは抑えられており、 コメディ & アクション の体裁を保っている。また、 スター・システム を取り込み、過去作品のキャラクターやデザインの流用が多く登場するのも特徴。

なお、当初は「 月狂条例 」というタイトル案が挙がっていたが、諸事情で変更となったという 。


ねこも♪ながぐつも♪

あらすじ

何十年かに一度、真っ青な月の光が「 おとぎばなし 」の世界をおかしくする。

おかしくなってしまった「おとぎばなし」の世界を正すべく、「 月光条例 」の使者である「 鉢かづき姫 」は「 〈読み手〉 」の世界に助けを求めやってくる。

偶然「 月光条例 」の極印が刻まれ執行者となった 岩崎月光 は、おかしくなってしまった「おとぎばなし」を正すための戦いを始めることになった。


ペロも♪プスも♪

登場人物

「おとぎばなし」の世界 ツクヨミ側の登場人物としてイデヤ・ペロー / 長靴をはいた猫(ながぐつをはいたねこ)がいる。

イデヤ・ペロー / 長靴をはいた猫(ながぐつをはいたねこ) おとぎばなし「 長靴をはいた猫 」の主人公。ツクヨミの一員。〈読み手〉の世界では人間の青年の姿に変化して、芸能界でも有名なイケメンアイドルグループ「スプラッシュ」に所属している。背中に穴のようなものを作り、契約した執行者に手を入れてもらい、執行者の思った通りに体を動かす能力「マペティカ」を持つ。使用武器は剣。 飄々としているが性格は悪賢くプライドも非常に高い。後述の解説にもあるように、条例執行後はすべて元通りになるため、過程で起きた犠牲や損害は無視する。(いわゆる 「終わり良ければ全て良し」主義 )このため、いかなる犠牲も見過ごさない月光達とは敵対関係にあった。登場当初、月光と鉢かづき姫の事を「違法執行者」と呼び、ツクヨミの誰もが知る〈呑舟〉の伝説を知らない為、見下していた。そのように冷酷で自己中心的な反面、友人である金太郎と屈託なく笑いあい、彼が倒されたことに涙を流して悲しむなど友情には厚い。ただ、お調子者ですぐ図に乗り、隙あらば手柄を横取りするなどちゃっかり者でもある。 工藤を執行者として選んで彼女と組み、ブレーメンの音楽隊を月光達に割り込む形で倒すが、次のおむすびの一件では月光達に先を越され、更には赤ずきんの一件を機に工藤本人がツクヨミに嫌気が差し執行者辞退を申し出てしまう。彼女のツクヨミ脱退を引き止めるため、傍から聞けば性行為を示唆する説得(実際はマペティカの能力のこと)をし、 セクハラ に近い行為に走ってしまい、更には本の世界の住人でありながら、工藤が住む古本屋の本をぞんざいに扱い逆鱗に触れる。以降は工藤が月光を慕うようになったせいで、当て馬的扱いになる。 その後、「フランダースの犬」の世界でかなり散々な目に遭い、月光達を違法執行者として本気で罰しようとしたが、その直後に親友の金太郎が月打された桃太郎に切り裂かれた事により小竹から仇討ちには鉢かづき姫が必要と知らされる。保安局から彼女を連れ出し、桃太郎達と一騎打ちするが圧されてしまい、殺される(=存在自体が消滅する)寸前の所を月光に守られ、(月光に譲られつつ)工藤と共に戦い見事桃太郎を倒した。その後、月光達の無免許に関する問題を取り下げた。 余談だが、先述の通り悪賢い彼であるが、一方で教養はあるようで、「フランダースの犬」の世界の教会にあった ルーベンス の作品を「素晴らしい」と賞賛していた。

世界観

〈読み手〉界(ニンゲンかい) 月光たち普通の人間が暮らす世界。 〈おとぎばなし〉界 世界中に存在する「おとぎばなし」の登場人物達が住む世界で、物語内の時代背景や文化などを明確に再現している。またこの世界では、空を見ると自分たちの物語を読んでいる〈読み手〉の姿が本を開いた形で見る事ができ、それがその物語の人気を表している模様。また、この読者の中でも特に自分達の物語を愛読している者は、「おひさま(太陽)」として崇められている。 これまでのあらすじを踏まえると、物語の登場人物達はこの「おとぎばなし」という名の舞台の上で与えられた役柄を演じる事によりその世界を永久に保っている。言い換えれば、本の世界は劇のステージ、登場人物達は役者、読者達はそれを見る観客、ストーリーは台本にあたるものとなっている。その為、作中では敵同士であるキャラも裏に回れば仲がよい事が多い(『一寸法師』の一寸法師と太郎丸、『赤ずきん』の赤ずきんと狼など)。 同じ出典や作中での時代が近い場合、話の枠を超えて親交があり、例として同じ 御伽草子 に掲載された鉢かづき姫と一寸法師の2人は親交があった。